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女性が今より一歩踏み出して、よりあかるい庄内になったら素敵だと思う

菅原明香/アーティスト名 あかるさかおる

鶴岡市出身で、現在は三川町在住の菅原明香(さやか)さん。 アメリカへの留学経験を持ち、一つの肩書に収まらない活動をしている明香さん。そのバイタリティの源には、環境や女性の生き方への強い思いがありました。

色々なところを行ったり来たり! 明香さんのこれまで

※留学中の1枚。

-鶴岡市生まれで、アメリカに留学経験があると伺いました。

「はい。高校卒業まで鶴岡にいて、東京にある留学のための準備学校を挟んでアメリカに行きました」

-アメリカではアートの勉強を?

「いえ、最初はジャーナリズムでした。実は私の留学は卒業まですんなりいっていなくて。初めに行ったのはカレッジでしたが、家庭の事情により途中で一度日本に戻り、就職しました。でも四年制大学を出ることが目標だったので、一年半後にまたアメリカに戻ることを決め、今まで取得した単位を移行して別の大学のアート学部グラフィックデザイン学科のイラストレーション専攻にすすみました」

-専攻を変えたのは何故でしょうか?

「9.11の同時多発テロが理由の一つです。元々ジャーナリストになりたかったので、『ジャーナリストは英語も話せないと』と思ったこともあり、当時日本にはなかったジャーナリズム学部があるアメリカを選びました。ですが、テロの発生でその夢を考え直しました。私は感受性が強い方で、テロ関連のニュースを調べているうちに感情移入して鬱々となることもあり、自分の性格はジャーナリストには向いていないのではないか、ジャーナリズムに身を置き続けたら自分自身が幸せになれないのではないかと感じるようになったんです。そこで一度リセットして、小さな頃から好きだったアートを学んでみようと」

屋号が現役! 近道には目印がない!? 三川町のふしぎ

※語学力を活かし、通訳としても活躍する明香さん。山伏体験に訪れたお客様と。

留学を終えて帰国してから、グラフィックデザイナーや養護学校の寄宿舎指導員、アパレル店員など様々な職種を経験し、結婚を機に現在の居住地でもある三川町に引っ越すことに。そこでの暮らしにはびっくりすることもあったそうで……

「印象にあるのは、周りを屋号で呼ぶことでした。引っ越してすぐの頃、近所の人に『どごなだ?(どこの人?)』って聞かれて苗字を言ったのですが、もう一度『どこ?』と聞かれまして。家の場所を説明したら『ああ、ひょうえもん(仮名)さん家ね』と。初代の家主の名前のようですが、近隣に同じ苗字の家が多いため屋号で呼ぶ方が便利みたいです」

-屋号を全部覚えるのは大変そうですね……他には何が?

「田んぼの真ん中を走る道を近道として教えてもらったのですが、目印が何もないのでどこを走っているのかわからず迷ってしまって(笑)。でも今では大分わかるようになって、はれて三川人になったなあと思います! あとは、三世代、四世代同居も当たり前なので、家長制度や集落の伝統的なしきたりも残っていて、核家族育ちには異文化体験でした」

一人目を出産後、自分には何がやれるかを考えた

※写真左:「Hospital Heart Act (ホスピタルハートアクト)」のメンバーと。写真右:「ホスピタルハートアクト」で使用する塗り絵。彩色済の作品は明香さんによるもの。

-今のような活動を始めたきっかけは何だったのでしょうか?

「上の子を妊娠中のことなのですが、当時、町の英語指導員兼通訳として働いていました。出産後に復職したかったものの、雇用の形態上育休が無いなどの色々難しい事情があり、残念ながら復帰は叶いませんでした。その仕事が好きで頑張っていた分、凄く悔しくて……使い捨てにされない、自分自身の足で歩いていく道はないかなあと考えたのが始まりです。」

現在では、色鉛筆・水彩画アーティスト「あかるさかおる」、ママと子どもが英語を楽しむ「バイリンガル育児」講師、仲間と一緒に病院などで患者さんや患者さんに寄り添う方たちのアートに取組む「Hospital Heart Act」に加えて、山形県では数人しかいない全国通訳案内士の資格を持ち、通訳としても活動をしています。

「何か自分にやれることは……と考えていた2016年に『鶴岡ナリワイプロジェクト』の起業講座に出会い、それをきっかけに『バイリンガル育児』と『ホスピタルハートアクト』が生まれました。『あかるさかおる』は、ナリワイより前、フリーでデザインをしていた頃に開いた個展がきっかけです。本名の『明香』の字から『あかるさ』が『かおる』ように、と名付けました。また、全国通訳案内士は上の子が1歳の頃に受験しました。現在は鶴岡で通訳案内士の資格を持つ皆さんと『CHAT CHAT』というグループを立ち上げ、一緒に活動しています。あと、ナリワイ起業講座の卒業生が集まる『ナリワイALLIANCE』の代表も務めています」


※写真上:明香さんが代表をつとめる「ナリワイALLIANCE」のメンバーと行った芋煮会での一枚。
※写真下:鶴岡の通訳案内士の会『CHAT CHAT』の皆さんと。

-同時並行で進めているんですか?

「二人目の妊娠・出産があったので、休んでいた時期もあります。バイリンガル育児は2020年の3月に再開します。ホスピタルハートアクトは、ようやく病院でのワークショップ ができるようになって2年が経ちました。どちらも誕生から3年以上になりますが、やっと実を結んできた実感があります」

庄内でエシカルなモノやコトを推進していきたい

※優しい視線の先には下のお子さんが。

-最近また新しい活動を増やされるとか。

「はい。布おむつのイベントを行います。以前からファッションにしても食べ物にしてもエシカルなものが好きだったのですが、その一環でやってみたいなと。今までもイベントやSNSでオーガニックやフェアトレードの商品を紹介したりはしてきたのですが、『エシカル』は私の活動の新しい柱の1本になる感じでしょうか」

※エシカル(ethical):「倫理的」という意味。最近では人や地域・社会、地球環境への考慮という意味で使われる。

-特に「布おむつ」に焦点をあてたのは何故ですか?

「シンプルに、布おむつユーザーが増えてほしいなと思いました。でも周りのママ友は誰も使っていないし、実物を見たことがないという人もいたので、まずは気軽に触れてもらいたいなと。そのためにおむつなし育児アドバイザー養成講座も修了しました」

-おむつを使わずに育児をする、ということでしょうか?

「使わないのではなく、子供の排せつのリズムを大事にするイメージです。庄内の言葉で『つだす』というのがあります。赤ちゃんのトイレのタイミングでおむつを外してあげることなんですが、皆が布おむつだった時代には普通に行われていたそうです。そうすると、おむつの中に排泄する習慣がつきづらくなって、その後のトイレトレーニングも無理なく進むといわれています。ですが、今の紙おむつが優秀すぎるために、いざ外す時期になっても『おむつがない状態でうまく排せつできない』という問題を抱えてしまう子もいるそうです」

-便利な裏には、そんな弊害があるんですね。

「それに、紙おむつは30~60%が高吸水性ポリマーとプラスチックでできています。そして、1人の子供が2歳半まで紙おむつを使うと、そのごみの量は何トンにもなるそうです。紙おむつは子供だけでなく高齢者も使いますから、自治体で出るごみのうち、かなりの割合をおむつが占めているとも言われています。多くの自治体では焼却ごみ扱いですが、使用済み紙おむつは重くて燃えにくい上に、燃え出すと高温になり焼却炉を傷めるなど問題になってきています。そのため、日本政府は『分解して下水道に流す』という対策案を2018年に出したのですが、下水に流すことになればマイクロプラスチックになります。世界的にはプラスチック廃止に向けて動いているのに、何だか逆行しているんです」

-紙おむつが紙でなかったとは……

「紙おむつは確かに便利ですが、自分たちの楽さのために環境に影響を与えるのは出来るだけ避けたいなと考えています」

-ちなみに、エシカルな事柄を意識するようになったのは、アメリカ留学時代でしょうか?

「留学を終えて帰国してからですね。フェアトレード品を買いたいという思いは昔からありましたが、食べ物や衣服まで気にするようになったのは子供が生まれてからです。ただ、山形県はエシカルな分野に関してはまだまだなので、今はネットで購入することも多いです。なるべく地産地消を心掛けてはいるのですが……」

庄内の女性に、今より一歩踏み出してほしい

※明香さんが講師をつとめる「バイリンガル育児」の様子。

-「バイリンガル育児」を3月に復活と仰っていましたが、他にも今年取り組みたいことはありますか?

「ちょうど産休中でもあるので、今年はできる限り勉強の一年にしたいと思っていて、赤ちゃん連れで色々な勉強会に参加しています。あと、自分が本当は何がやりたいかを見つめ直す時期かなとも感じていますが……近いところでは、三川町で3月7日に行われる『庄内地域男女共同参画講座』の実行委員をしています」

-講師が上野千鶴子さんですね!

※上野千鶴子さんは、社会学者で、東京大学名誉教授。認定NPO法人ウィメンズアクションネットワーク(WAN)理事長を務めている。女性学やジェンダー学の第一人者。

「そうなんです。下の子の妊娠中に実行委員にと声をかけていただいて、3月なら赤ちゃんも産まれて少し大きくなっている頃だと思い引き受けました。自分自身、男女共同参画や女性の権利といったものにとても興味があるので。留学から戻ってきて感じたのですが、庄内の女性は頑張り屋さんなのにあまり前に出ようとしないなと。もし、女性が今より一歩前に踏み出していけたら、もっとあかるい庄内になる気がします」

-『ナリワイALLIANCE』にも、そのような思いが込められているとか?

「そうですね。『ナリワイALLIANCE』のメンバーはほとんどが女性なのですが、『ナリワイ起業講座』修了後もメンバー同士で安心して相談できる場所を作りたかったのと、地方で自分らしく生きることを発信していきたいと思ったので、立ち上げから関わりました」

※3月7日の「庄内地域男女共同参画講座」は、新型コロナウイルス感染拡大防止の事由により、残念ながら開催中止となりました。

庄内でなりたい自分になれていますか?

-「ショウナイターンズ」のキャッチコピーでもある「庄内でなりたい自分になる」。明香さんは、庄内でなりたい自分になれていますか?

「なれてきているなと思います。まだ100%ではないので、なる途中というか……でも、ころころ転がりながらなりたい自分に近づいて行っている気がします!」


色鉛筆&水彩アーティスト「あかるさかおる」、ナリワイALLIANCE代表、ホスピタルハートアクトメンバー、全国通訳案内士、通訳/英語指導ほか 菅原 明香 色鉛筆&水彩アーティスト「あかるさかおる」、ナリワイALLIANCE代表、ホスピタルハートアクトメンバー、全国通訳案内士、通訳/英語指導ほか 菅原 明香

鶴岡市出身。高校卒業後のアメリカ留学を経て、結婚を機に現在居住する三川町へ。色鉛筆&水彩画アーティスト、通訳・英語指導など、活動の幅は多岐にわたる。


文:ガンバリーニ杏子

神奈川県鎌倉市出身。夫に連れられる形で、2018年3月より縁も所縁もない山形県酒田市に移住。ライター仕事やブログ「ボンジュール庄内」運営のかたわら、適度に便利でゆとりある地方都市生活を日々満喫している。現在は、酒田にボードゲームカフェを開くべく奮闘中。ちなみに夫はフランス人で「ガンバリーニ」は本名。
ボンジュール庄内

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